どうも、マスクド・ニシオカです。
スイミングスクールで子どもに水泳を教えるコーチとして、毎年夏になると心苦しくなるニュースを目にします。
お盆休みの13日、各地の海や川で水の事故が相次ぎ、北海道や岐阜、鳥取など、全国で9人が死亡した。
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20170814-00000186-fnn-soci
自分自身が3歳からスイミングスクールで水泳を習い、大人になって水泳のコーチを仕事にしてから30年近くになります。スイミングスクールで子どもに水泳を教えて、泳げるようにいろいろ考えて様々な工夫をしてきましたが、それでも必ず毎年夏になると「溺れる」というニュースを目にします。
もちろん、自分がやっていることなんて本当に微々たるものですが、それでも日本全国にスイミングスクールがあって、何年も子どもの習い事ランキング1位がスイミングスクールで、コーチたちはがんばって子どもに教えているはずなのに、やっぱり溺水事故が起きてしまいます。
絶対に溺れない方法
過去に責任者をしているときに、経験の浅い若手コーチの研修をするときに、このような質問をしていました。
「絶対に溺れない方法は?」
子どもが好きで水泳が好きでコーチになった人たちは、この質問に対して目をキラキラさせながら答えます。「台を敷き詰めて浅い状態を作る」「子どもから目を離さない」「浮き具を付ける」どれも間違いではありません。しかし、自分は意地悪ですから、このような答えを出します。
「プールに入らないこと」
当然、コーチたちの顔には、なんじゃそりゃ?と書いてありますが、その後「絶対の安全はない」ということを淡々と説明していきます。経験の浅いコーチたちが出した答えは間違いではありませんが、「絶対」ではありません。
こうやってスイミングスクールのコーチたちは、いつ何時でも子どもだけじゃなく大人でも、「溺れるかもしれない」という認識を飢え付けられていくのです。
ですが、それでも溺水事故は後を絶ちません。
「泳げる」の自信はどこから?
泳ぐのが怖い人は海にも川にも入りません。たぶん。泳ぐことにある程度自信がある人が、海や川に入ります。じゃあ、その泳げる自信ってどこから来るのでしょう?
大人の場合は過去の記憶というのが大きいでしょうか。昔泳げていたから、去年泳いだから、学生のとき水泳部だったから。そんなところでしょう。しかし、子どもの場合は子ども自身が泳げると思っていても、あてになりません。親の目で見て泳げるかどうか?になりますが、そこでスイミングスクールに通っているかどうかが加わり、たいていの場合、スイミングスクールで泳げている=溺れない=大丈夫みたいになるのではないでしょうか?
スポンサーリンク
プールとそれ以外の差
スイミングスクールにあるプールは、出来るだけ安全に事故が起きないように管理されています。川のように流れはありませんし、海のように波もありません。水深は深くても1.4mくらいでしょうから、水温の差が生まれることも少ないでしょう。
- 水の流れ
- 水の波
- 水温の差
これだけでもプールと海や川の差はありますが、実はもっと違いがあって、逆にいえば同じことがないと言っても過言ではありません。海には海草があって川にはコケが生えていて、プールには無いモノがたくさんあります。そしてプールにはコースロープがありますので、いざとなったら摑むことができます。
以前責任者をやっていたころ、遊びのつもりで子どもクラスの練習中に、大きなビート板を使ってプール全体に波を起こしてみました。プールには小さな子どもからバタフライを泳ぐ子どもまで、いろいろな泳力の子どもがいましたが、クロールを泳いでいる子どもが呼吸がうまくできず泳げなくなっていました。
遊びのつもりでやったことですが、これくらいの波で泳げなくなるようなクロールだったらダメだ!ということで、コーチ全体に注意したことがあります。もちろん、そもそも波を立てないでください!と猛反発を喰らいましたが・・・。
プールで泳げても怖いと思うくらいがちょうど良い
もしかすると日本全国のスイミングスクールのコーチからお叱りの声が届くかもしれませんが、残念ながら、いくらプールで泳げるようになっても、海や川で泳げるかどうかは別で、溺れそうだから怖いと思っているくらいがちょうどいいのでしょう。
いくらコーチが溺れないように練習を重ねても、あくまでもプールで泳げるだけの話であって、川の流れや海の波があれば溺れます。その理由は前述した通り、プールと海や川の違いであって、スイミングスクールの指導能力云々ではありません。
最初に書いた話ではありませんが、絶対に溺れない方法は水に入らないことしかありません。かといって、海や川に行くな!というつもりはありません。ただ、怖いと思って水に入るのと、自分は泳げるから絶対溺れないと思って水に入るのでは大違いです。いくらスイミングスクールでバタフライが泳げても、海や川では慎重になって、怖いと思うくらいがちょうど良いのです。
最後に
絶対に溺れない方法は、水に入らないことです。
なんだかトンチみたいな答えですが、長年水にまつわる仕事をしてきた答えです。海や川で泳ぐときにはライフジャケットを着れば大丈夫、などと思っていること自体が危ないのです。ライフジャケットを着ていても溺れることはあります。
暑い夏はまだまだ続くでしょうから、海や川に行く人もまだまだいるでしょう。長年スイミングスクールで勤めてきて、自分ができるせめてものことは、怖がらせることです。どうか、いくらプールで泳げても、海や川で溺れるかもしれない、と思っていただければと思います。
でわ、股!!
クリックしてもらえると助かります。