どうも、マスクド・ニシオカです。
先日、読者登録させていただいている、初音りずさんがこのような記事を書かれていました。
細かい内容については読んで頂くとして、簡単に内容を紹介させていただくと、もともとまとめで「中1の家庭教師バイトが嘆く「まじでもうヤバい。円の円周をどうやっても理解しない」に共感の声多数」というのがあって、それを見た初音りずさんが魂の叫びとして、このようなことを書かれています。
あなたのような人間がものを教える仕事をしている時点で日本はマジでヤバいですよね!!!><(数学できない民、魂の叫び)
わははは!
なんとも痛快な意見で、思わず嬉しくなりました。
自分も数学どころか算数レベルで計算が苦手なのと、スイミングスクールでコーチをしていたという経験上、仰られていることに凄く共感できます。
教える側は「教えることができる知識や経験」があるから教えられるわけであって、それを知らないもしくはできない相手、つまり教わる側に対して「知らないの!?」とか「覚えようとしない!!」と罵ることは、自身の教育能力の低さを疑われても仕方がありません。
なぁ~んて小難しく書きましたが、簡単にいえば「わからないから習ってるのでは?」であり「教えるのが下手なだけでは?」なのです。
手前味噌にはなりますが、先日書いた記事で「ほめちぎる教習所」のことを書きましたが、この教習所の場合は「教わる側が知らないできないのを大前提に教える」ことが徹底されていて、それが人気の秘密なのでしょうね。
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スイミングスクールに置き換える
前置きが長くなりましたが、自分が長年いたスイミングスクールの世界に、この話を置き換えてみます。
スイミングスクールの場合は、教えるのは「コーチ」で教わるのは「生徒=お客さん」で、コーチのほとんどはアルバイトで構成されていて、お客さんは子どもから大人まで様々です。
もちろん社員のコーチもいますが、企業としては人件費を下げるためにアルバイトを雇うことが多く、自分の知る限りでは社員3人とアルバイト10名くらいで運営している現場がほとんどで、アルバイトの割合が多いのは否めません。
コーチの多くは水泳経験者
そのアルバイトの多くは水泳経験者です。と断言できます。
もともとそのスイミングスクールに通っていた選手クラスのお兄さんやお姉さんが、いつのまにかコーチになっているケースは数知れず、「アルバイトコーチを確保するために、選手クラスを作るべきだ!」と唱える社員もいるくらいです。
もちろん別のスイミングスクールでアルバイトを始める人もいますが、そのほとんどが「子どものころにスイミングに通っていた」とか「学生のときに選手でした」というパターンが多いのです。
水泳経験者のコーチが多いのは、以下の3つの理由が関係しているでしょう。
- 自身が泳げるから、教えるのは簡単(だろうと思っている)
- 人前で水着姿になることに抵抗が無い
- 水の中にいることが当たり前になっている
泳げるのが良いコーチ?
では、泳げるコーチが良いコーチか?となりますが、そうではありません。
というのは、泳げるコーチは泳げない人の気持ちがわからないからです。
浮くとか潜るとか顔を浸けるとか、そういった基本的なことについて、怖いと感じる人の気持ちがわかりません。
泳げるコーチの多くは「いつの間にか自然にできていた」とか「そもそも怖いと感じたことがない」と思っていて、怖いと感じる人にどう接していいかもわかりません。
極端な物言いではありますが、このことだけを考えると、泳げるコーチの方が教えるのは下手といってもいいでしょう。
浮くために沈む
ひとつの例を書いてみます。
多くの泳げない人は、溺れる(=沈む)ことが怖いと頭で考えます。
そこで沈まないように空気のある水面より上を目指しますが、これは逆効果でよけいに沈みます。
そこで浮こうとするならば、水面より上に体を出さず、水の中に潜る方が体は浮いてきます。
(こういうことを、頭の良い方ならば科学的に説明できるのでしょうが、自分の場合は下手な絵でしか説明できませんので、あしからず)
もちろん空気を吸った状態で、体を動かさないという条件は付きますが、泳げない多くの人はこのことを知らないので、子どもでも大人でも足の届くところでやると、自身の体が浮くという感覚を頭で理解してもらえます。
つまり、こういうことを最初から泳げるコーチは理解しておらず、人間の体がなぜ浮くのか?どうすれば泳げるようになるのか?といったことは、泳げるかどうかとは別モノで、泳げるコーチだからといって良いコーチとは限らないということです。
学ぶのには時間がかかる
ここに書いた例はほんの一部であり、コーチとして学ぶことは山ほどあります。
こうやって書いている自分も水泳経験者で、コーチになりたての頃は泳げない人の気持ちがわからずに苦労して、それから指導方法や水泳を科学的に学ぶようになり、今では何とか泳げない人の気持ちがわかるようになりました。(自己判断は禁物ですが・・・)
まず泳げない人の気持ちがわかるようになり、それから泳げない人の気持ちに寄り添うようになり、そこから泳げない人が泳げるようになる方法に学んで、やっと一人前のコーチとして完成するわけで、そこに至るまでにはかなりの時間がかかります。
ところが・・・
企業は短時間でコーチを生み出したい
利益を上げないと倒産する企業としては、時間をかけて良いコーチを生み出すことよりも、とりあえずでいいからお客さんに文句を言われないコーチを、早く生み出すことを望みます。
ここでいうお客さんに文句を言われないコーチとは、泳げるコーチのことです。
スイミングスクールのお客さんの多くは子どもであり、そのお金を出しているのは保護者です。
その保護者の目から見たときに、「泳げないコーチと泳げるコーチの差」は、そのまま「良いコーチと普通のコーチの差」になります。
これは偏見という意味ではなく、保護者が見学席から見た場合「泳げるかどうか」しか情報がなく、コーチがプールの中でちょっと移動する際の動き(泳ぎ)で、保護者は良いコーチかどうかを判断されています。
なので、もともと泳げるコーチにある程度の知識を与えて、とりあえずコーチの完成!みたいなことになるのです。
最後に
この記事で「スイミングスクール業界をぶった切る!」なんてつもりはありませんが、昔に比べるとコーチの質が落ちていることは間違いないでしょう。
業界自体が「それでも儲かっているから、それでイイのだ!」と言い切るのであれば、もう何も言うことはないのですが、やっぱりちょっと寂しく感じますね。
もちろん自分は会社を辞めたので、大声で口を出す権利は失っているかもしれませんが、まだ業界が必要としてくれてアルバイト程度ですがコーチとして働きますので、まだ多少の権利は持っているはずなので、書かせてもらいました。
とにもかくにもスイミングスクール業界の誰かが「なんで顔が浸けるのが怖いんだよ!?こういう子どもがいるから日本はマジでヤバい」とSNSに書き込まないことを祈ります。
でわ、股!!
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