どうも、マスクド・ニシオカです。
これまで28年ほどスイミングスクールで水泳を教えるコーチをしてきました。1年ほど前に会社を辞め、現在はアルバイトですがマイペースでコーチの仕事を続けています。
このブログは会社を辞めると決めてからの備忘録として始めたので、当初は仕事のこと、スイミングスクールのことをよく書いていました。今でもよく読まれているのが下記の記事で、その後もたまにスイミングスクール関連のことを書いています。
スイミングスクール業界には感謝
なんだか上の記事みたいに業界暴露!みたいな記事も書いておりますが、自分を育ててくれたスイミングスクール業界には感謝をしております。
ただ、スイミングスクールの世界というのは、通う人は多いけれど働く方が少ない世界で、中でどのようなことが行われているかがわからない世界です。
そこで業界が崩壊しない程度に、また、業界が今まで以上に良くなるように、自分の知る範囲でのことを書いています。
まさにプロレス界でいうところの、ミスター高橋なのです。
かつて新日本プロレスのレフェリーであったミスター高橋は、この本でプロレスの裏側、プロレスはショーでありエンターテインメントであることを暴露しました。
しかし、それはプロレスの今後を考え、ショービジネスとして再びプロレスの再興を考えてのことであり、プロレス業界を貶めるためではありません。
実際、この本は話題となりましたが、プロレスの人気が衰えることはなく、現在はプロレスをショーとして捕らえるファンが増えたから、再び人気があるのではないでしょうか?
すみません。ちょっと熱くなって脱線しましたが、スイミングスクール業界に感謝しているけれど、もっと良くなるために書かせてもらいます。という感じです。
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案山子コーチとは?
案山子と書いて「かかし」と読みます。
ここでいう案山子コーチとは、立っているだけで何も出来ないコーチのことです。もっと酷くいえば、人数合せのためにいるだけで、指導能力のない(低い)コーチのことを指します。
案山子コーチは指導能力の低いコーチですが、研修中のコーチとは少し違います。研修中のコーチには、たいていの場合ベテランコーチが付き添い後ろで見守っています。
では、そんな経験の浅くて指導能力の低い案山子コーチが生まれるのか?そこにはこんな理由があります。
コーチの数はブロックの数
スイミングスクールでは「ブロック」という言葉が使われます。これはレッスンを行うときに子どもの泳力によって振り分けをするときの単位で、たいていの場合、初心者のクラスから01(ゼロイチ)ブロックと名付けられます。(スイミングスクールによって違いあり)
例えば、その時間に来る子どもの数が100人いたとして、それを10人ずつの10ブロックに分けたとします。そうなると基本的にコーチの数は10人必要になります。
ここでお客さん(保護者)としては、自分の子どもを安全にたくさん教えて欲しいですから、1ブロックの人数を減らして欲しい=ブロックの数を多くして欲しいと考えます。対するスイミングスクール側には人件費の問題がありますから、ブロックの数=コーチの数を減らしたいと考えます。
- お客さん(保護者)=ブロックを増やして欲しい
- スイミングスクール=ブロックを減らしたい
その狭間でブロック数を決めるのが責任者の役目で、お客さんのニーズと経営上の数字を読む能力が問われます。
スイミングスクールにもよりますが、子どもが100人いたら、6~8ブロックで回しているのではないでしょうか?
- 01ブロック(全然泳げない) 10人
- 02ブロック(ちょっと泳げる) 10人
- 03ブロック(ある程度泳げる) 15人
- 04ブロック(かなり泳げる) 15人
- 05ブロック(めちゃくちゃ泳げる) 20人
- 06ブロック(速く泳げる) 30人
ですが、これは理想論であり、コーチの数が6人いるからできることです。つまり、何らかの事情でコーチの数が6人に満たない場合、6ブロックを維持することが出来ません。しかし、それにも理由があります。
ほとんどのコーチはアルバイト
スイミングスクールを運営する場合、とにかく人件費が経営状態を左右します。人件費を安く抑えるためにスイミングスクールはアルバイトを多くして、社員を減らしました。
自分が知る限りでは、全コーチ10名の内、社員が2名なんて当たり前で、酷い場合は社員ひとりでやっているところもあるでしょう。
それで人件費を抑えることはできましたが、アルバイトは他にも仕事をしていたり学業があったりして休むことがあります。それも事前に連絡があれば代役を立てることができますが、急に休むこともあり、さらには辞めてしまうこともあります。
コーチが足りないときスイミングスクールがやる手段
こういった理由から、コーチが6人揃わない場合があります。それが急な場合もあれば長期的に6人揃えられない場合もあります。
どちらにしろ、コーチが5人しかいない場合、スイミングスクールがやる手段は2つあります。
- 子ども100人に対して6ブロックを5ブロックにする
- 6ブロックを維持したまま案山子コーチで凌ぐ
6ブロックを5ブロックに
本来、100人の子どもに対して6ブロックが妥当と判断しましたが、コーチの数が足りない場合、強引に5ブロックで対応します。前述した例でいえばこんな感じになります。
- 01ブロック(全然泳げない) 10人
- 02ブロック(ちょっと泳げる) 10人
- 03ブロック(ある程度泳げる) 15人
- 04ブロック(かなり泳げる) 15人+10人(05)=25人
- 05ブロック(めちゃくちゃ泳げる) 20人 04と05に割り振る
- 06ブロック(速く泳げる) 30人+10人(05)=40人
泳げる子どもは溺れる可能性が低い、という理由だけで泳げるブロックの子どもを振り分けてレッスンを行います。当然、お客さん(保護者)は不満に思いますが、泳げる子どものブロックの子どもは年齢層が高いので保護者が一緒に来ていないことも多く、クレームが出にくいということもあります。
しかも、クレームを言ったところでどうにもなりません。スイミングスクールからは「すみません。でも、いないものはいないので…」としか返ってきません。
あとは辞めるか続けるかだけとなります。
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案山子コーチを置く
5人のコーチとは別にスタッフがいたとします。それは監視しかしていないコーチだったりフロントスタッフだったりします。でも、そのスタッフに指導経験はなく、ちょっと泳げるだけだったりします。ですが、ブロックを減らすことよりも案山子コーチがいることの方が良しと判断された場合、案山子コーチが投入されます。
- 01ブロック(全然泳げない) 10人
- 02ブロック(ちょっと泳げる) 10人
- 03ブロック(ある程度泳げる) 15人
- 04ブロック(かなり泳げる) 15人
- 05ブロック(めちゃくちゃ泳げる) 20人
- 06ブロック(速く泳げる) 30人 ⇒ 案山子コーチ
案山子コーチはレッスンの数十分前にメニューを書いた紙を渡されて、それを必死で覚えます。覚えられなければメニューをマジックで手に書いてプールに入ります。「板キック25mを何本」とか「何分になったら平泳ぎをする」とか、やり方はいろいろですが、速く泳げる子どもに合わせた練習の指示だけを出していきます。
それでも時間は過ぎ、レッスン終了時間になれば終わりです。
こちらもお客さんにとっては、いつものコーチじゃないという不満が残るレッスンになりますが、ブロックが減ることに比べれば、まだましです。それに普通の保護者はレッスンの良し悪しがわかりませんし、案山子コーチがシュッとしたイケメンだったりすると、それだけで大丈夫だったりしますから、なんともいえないのですけどね…。
あくまでも経験談です
ここに書いた案山子コーチの話は、あくまでも自分の経験談であり、すべてのスイミングスクールで行われているわけではありません。ですが、今のスイミングスクールで急に欠員が出ることを予測して、余分にコーチを置いていることは、人件費の面で考えると難しいと思います。
それくらいスイミングスクールの運営をギリギリでやっているといいたいところですが、会社の上の方がいっぱい儲けているだけで、それをちゃんと分配すればコーチの数を増やすことができるかもしれません。
会社の言い分としては、「一度給料を上げると歯止めが利かなくなる」ということで、「それが嫌なら辞めてもらって結構」となって終わりです。もちろん、これも自分がいた会社だけの話ですけどね。
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最後に
スイミングスクールで働く人間としても、理想としてはコーチを確保して案山子コーチを生まない方が良いでしょう。しかし、機械ではなく人間が行っていることですから絶対はありません。レッスンが始まる5分前にコーチが来なくてパニックになったことは何度もありますし、自身がプールに入る数時間前に血を流す大ケガをしてプールに入れず、急遽案山子コーチに入ってもらってプールサイドから指導したこともあります。
スイミングスクール業界に関わった自分としては、将来この辺をどうにかしないと未来は明るくないと思うのですが、どうなんでしょうね?
そして、このようなスイミングスクールの闇の部分について、まだ2つ書きたいことがあります。
「進級テスト」
「異性問題」
どれだけ読みたい人がいるかはわかりませんが、近いうちに書きたいと思います。
~2017/9/18 追記~
早速書きました~!
~2017/9/19 追記~
さらに書きました~!
でわ、股!!
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