46歳で退職してブロガーになってみた

働けおっさんブロガー

26年勤めた仕事を無計画に辞めたおっさんの生き様を綴る

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スイミングスクールがお客さん(保護者)から言われたくないことのハナシ

先日起きたスイミングスクールでの事故について、数日経った今もそれについて書いた記事が多くの方に読まれており、世の中の話題としてはまだまだ沈静化されていないということなのでしょう。

で、自分もスイミングスクールで長年働くコーチですので、同じような事故を引き起こす可能性のある人間であり、ここで「そんな事故を起こすのは最低だ!」と書いたら、それが超巨大なブーメランとなって返って来るかもしれません。

なので、同じ業界で働く人間としては戒めのつもりで書いておりますので、決して事故を起こしたスイミングスクールや担当したコーチを非難するつもりはございませんので、あしからず。

 

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担当コーチや監視員が増えても事故は起こる

スイミングスクールでこういう事故が起きたとき、必ずといっていいほど「子どもの数に対してコーチ(監視員)の数が足りていないのでは?」という声が、保護者や一般の方から出ます。

もちろんそれは間違いではないですし、そう思う気持ちを否定するつもりは1ミリもありませんし、確かに事故が起きる可能性は下がると思います。

しかし、長年スイミングスクールでコーチの仕事をしてきた自分としては、「スタッフの数が増えても事故は起こる」と思います。

実際、今回の事故が起きたのは保護者がプールサイドに入って観覧できる参観日であり、コーチや監視員以外にも多くの大人が子どもを見ていたはずですが、それでも事故が起こりました。

これを専門的に何ていうかは知りませんが、人間が持つ「誰かが見ているだろう」という心理が働いたことで起きる現象であり、安全を守るために見ている人間の数を多くしたところで誰も見ていなかったら、結局スタッフの人数が増えても、同じような事故は起きるでしょう。

 

「コーチ(監視員)を増やせ!」はスイミングスクールの思う壺?

じゃあ保護者からの「コーチ(監視員)を増やせ!」という声が無駄になるのか?となると、前述したように「事故の可能性を下げる」という意味では無駄ではないのですが、「逆にスイミングスクールの思う壺になるのでは?」と思います。

スイミングスクールで働くスタッフを「質と量」で考えた場合、多くのお客さん(保護者)は「質」についてはわかりませんが、「量」については見たらすぐにわかります。

しかし、スイミングスクールは「質」を理解しており、それを上げる努力をしているのですが、それが簡単ではないので苦労しています。

そこにお客さんから「量を増やせ!」と来た場合、スイミングスクールとしては「それなら出来る」となり、根本的に事故を未然に防ぐために「質」を上げることから、お客さんの目をそむけることができますので、「思う壺では?」となるわけです。

 

スイミングスクールが言われて困る言葉

スイミングスクールで長年コーチとして働いていると、様々なご意見やクレームのお声をいただきます。

もちろんこちらはプロですから、水泳指導の理論だったり、進級テストの判断基準であったり、それ以外にも安全管理の考え方なども、専門的な知識を持って毅然と対応します。

しかし、それらの完璧な理論を持ってしても、次の言葉を言われると、ぐぅの音も出なくなります。

「〇〇コーチが見てくれていない」

 

サービスを判断するのはお客さん(保護者)側

前述したように、水泳指導理論などの専門的なことは、プロには敵いません。

しかし、あくまでもサービスを受けているのはお客さん(保護者)側であり、そのサービスの質が、払っている料金に比べて見劣りすると思う場合は、そこに違和感を感じて声に出してもおかしいことではないでしょう。

そこで、専門的なことではなく、そもそも見ているか?見ていないか?を判断基準とし、担当するコーチが子どもを見ていない時間が長いと感じたら、そのことをダイレクトにスイミングスクール側に伝えます。

もちろん、お客(保護者)として毅然な態度を取り、直接スイミングスクールに意見を伝えることが重要で、SNSで広めるようなことをしても、問題解決にはならないでしょう。

 

なぜ「見てくれていない」が困るのか?

スイミングスクール側が「コーチが見てくれていない」といわれて困るのは、それが一番シンプルに急所を突かれる言葉で、水泳指導における「そもそも論」に通ずるからです。

泳ぎが下手な子どもを見ていれば、教えることが出来ます。

溺れそうになっている子どもを見ていれば、助けることが出来ます。

しかし、そもそも見ていなければ、その両方とも出来ません。

なので、いくら素晴らしい理論を振りかざされても、「そもそも見ていないでしょ?」のひと言でひっくり返せるわけです。

 

それを受け止めないスイミングスクールはやめちゃったほうがいい

ただし、そういう意見を伝えても、「いや、見ています」なんて反論してくるスイミングスクールの責任者(及び担当コーチ)もいるでしょう。

残念ですが、もしそうであれば、そのスイミングスクールはやめちゃったほうが正解です。

以前ブログでも書いた「ハインリッヒの法則」というものがあり、軽微なヒヤリとする事象が300件起きれば、ひとつの重大(溺水)事故が起きる可能性が高く、それを理解しているスイミングスクールは、「コーチが見ていない時間」をヒヤリとする現象とカウントして危険回避のための措置を取りますが、そうでないところは「事故が起きていないから大丈夫」と判断してしまいます。

スイミングスクールにおける「ハインリッヒの法則」のハナシ - 働けおっさんブロガー

なので、危機意識が低いスイミングスクールは、そういうお客さん(保護者)からの意見を受け止めることを拒み、現状事故が起こっていないことを盾に、変化することをしませんので、やめちゃったほうが正解というわけです。

 

もちろん自分も言われてきた

なんだかこうやって書いていると、さも自分はちゃんとやってきて、そういうことを言われなかった人間だと思われるかもしれませんが、その逆で、お客さんからめちゃくちゃ怒られ意見を受けたおかげで、本当にそう思えるのです。

長年同じ仕事を続けてきたおかげで、それなりの理論武装とトーク技術を身に付けてきましたが、「そもそも見ていない」と意見をぶつけられると、何の役にも立ちません。

なのでそれからはそう言われないようにやってきたのですが、まだ完璧ではありませんし、今後もこの仕事を続けていくのであれば、さらなる精進が必要だと思っています。

つまり、30年近くやってきてもこう思うわけで、この仕事に絶対は無く、それゆえに簡単に「質」が上がらないものだと理解して頂ければ幸いです。

 

現在通っているスイミングスクールに伝えるなら

というわけで、もし子どもを通わせているスイミングスクールが心配なら、受付に行って責任者に話があると呼び出してもらい、直接「〇〇コーチが見てくれていない」と伝えるのがベストでしょう。(もちろんそう判断した場合の話です)

中には対応を拒む責任者もいますが、そのときは受付に伝え、責任者からの対応が無いと判断したら、本社に電話かメールをするのが手っ取り早いです。

そのときに「コーチ(監視員)の人数が・・・」というよりも、「そもそも見てくれていない」と伝えるほうが効果的で、それでそのコーチが必要以上にキョロキョロし始めたら、きちんと教育されていると見て間違いないでしょう。

 

最後に(特に関係者各位)

このブログを読んで下さっている方の中には、自分と同じくスイミングスクールでコーチの仕事をしている方もいるでしょう。

これを読んで「ふむふむ」と納得してくださればいいのですが、もしかしたら「何をよけいなことを・・・」と思われているかもしれません。

しかし、ここに書いたことは自分の身にも起こる可能性があることであり、もしかしたら明日「見てくれていない」と言われるかもしれないのです。

それらを理解した上で、そうならないように精進することだけが、コーチの質を高めることだと信じて、つらつらと書いてきました。

残念ながら、スイミングスクールでプールに入って子どもを指導するコーチの待遇は、会社でデスクワークをする偉いさんに比べてかなり低く、水泳指導を極めようとするよりも、偉いさんに気に入られて上層部に登る方が、手っ取り早く楽して稼げるでしょう。

その仕組みがある以上、スイミングスクールのコーチの質が上がることは難しく、こうやって書くことでそれが変わるとは思えませんが、それがお客さん(保護者)の意見となれば、もしかしたら・・・みたいなことは思います。

というわけで、これを書いている今は春休み教室の真っ只中であり、きっとこれから夏(秋)に向けてクソが付くほど忙しくなりますが、とにかくお体には注意して・・・ってアレ?何について書いていたんだっけ?

 

でわ、股!!

 

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