長年スイミングスクールでコーチの仕事をしてきました。
主に子どもに水泳を教えるのが仕事ですが、もちろんずっと泳いでいるわけではなく、体操したり遊んだりおしゃべりしたり、水泳指導とは別にコミュニケーションをとる必要がありました。
もちろん子どもにはいろいろなタイプがいて、すぐに距離を詰めてくる生意気な積極的な子どももいれば、なかなか仲良くなれない子どももいて、全体を見ながらコントロールするのがコーチとしての腕の見せ所でした。
そんなとき、こんなことを言ってくる子どもが、たまにいます。
「ねぇねぇ、おかねちょうだい!」
この発言の目的は様々で、単に仲良くなって面白がって言ってる場合もあれば、意地悪で大人を困らせようと思っていたり、他にも大人には理解できないような理由で言ってるのでしょうが、実際にいます。
そんなとき、それを言われた自分は、こう返していました。
「いくらほしいの?」
たぶん、言い出しっぺの子どもは本当にお金がもらえるとは思っていなくて、「ダメ!」と返されて終わると思っていたのが、具体的な金額を聞かれたことで「ん?」となります。
もちろん「ん?」とならなかったり、ここで引き下がる子どももいますが、中には抜いた刀を引っ込められない子どももいて、今度はこう言ってきます。
「せんえん!」
ここでお札の最小金額である千円というのが子どもらしいのですが、もちろん大人である自分はここで引き下がるわけもなく、次に繰り出すのがコチラです。
「二千円くれたら、千円あげるよ」
これを聞いた子供はだいたい「そんな!ズルい!」などと文句を言いますが・・・
そもそも「お金をくれ!」とお願いしてきたのはそっちなんだから、その代わりにこっちの願いも聞くのがフェアであり、世の中そんなに甘くないんだよ!
というかお金が欲しいのはこっちであり、それほど高くない給料で大量の仕事と責任を押し付けられて、さらに人件費を削られて人手不足で長時間労働となり、この前時給換算したら涙が出そうになったんだよ!チクショー!バカヤロー!
などと心の中で叫びつつ、顔ではニコニコしながら「ハイ!じゃあ泳ごうっか!」と言って無かったことにしていました。
てなことをやっておいて、しかも自分で書いておいてアレですが、意地悪ですね。
でもね、さすがに一度や二度のこんなやり取りで変わるとは思いませんが、こういうことをやってきた子どもが大人になったら、こんなのには引っかからないのでは?と思ったりするのです。
これ、他にも給付金詐欺で逮捕されているニュースもありましたが、どちらもセミナーやSNSでお金が欲しい人を勧誘して、それをうまくコントロールして給付金詐欺を行わせ、甘い汁を吸っていたみたいです。
つまり、いくら国税局の職員で頭が良くても、その人たちだけでは詐欺で大金を手にすることが出来ず、勧誘された人たちが「どうせ「二千円くれたら、千円あげるよ」とか言ってくるんでしょ?」と思っていたら防げた、かもしれません。
というわけで、もちろん子どもの夢をぶっ潰すようなことは良くないですが、世の中の厳しさというか社会のルールというか、そういうのを遊び感覚でいいから伝承していかないと、人類は簡単に滅びてしまうのでは?とは大げさでしょうか?
あと、最初の話に戻ると、そうやって「おかねちょうだい!」と言ってきて返り討ちに合う子どもが実際にいるのですが、そのとき、そのやり取りをじーっと見ている子どもがいるのも事実であり、そういう子どもの方が、実はちょっと怖かったり怖くなかったり・・・
ま、あくまでも昔の話ですからね。
でわ、股!!