ほぼタイトルが全てですが、こんなお話です。
自分が通勤で使う電車には、必ず小学生数名の集団が乗ってきて、自分と同じ駅で降ります。
それが毎週土曜日の早朝で、みんな同じ制服を着ていることから、たぶん私学だとは思いますが、どこの小学校に通っているのか?などは全く知りません。
その小学生たちは、たいてい子どもらしくはしゃいでいるのですが、この日は自分の対面に、たぶん2~3年生の女の子ひとりが座って、眠りこけていました。
車内はほとんどが大人か高校生で、それほど混んでいるわけではありませんが、全員が座れない状況で、座れない人たちが扉の近くに立っています。
他の小学生たちは少し離れた場所で固まっており、その女の子は大人に挟まれてひとりで座っていました。
同じ駅で降りることを知る自分の脳裏には、「起こしてあげるべきか?」と思い浮かびますが、こんな世の中ですから、「幼い女の子に声をかけるおっさん」というだけで周りの大人から怪しまれるかもしれません。
自分は「この制服を着た子どもたちは、全員この駅で降りる」と知っていますが、他の大人の方は知るはずもありませんので、正しい方向で想像して頂けない場合、「通報」というリスクを背負うことになるのでは?とは考え過ぎでしょうか?
そうこうしている間にも、降りる駅は近づきます。
しかしそこで、「そうか!友達が起こしてくれるか」と思い、声をかける考えは完全に引っ込めました。
そりゃあ同じ学校に通う子ども同士ですから、見捨てることはないでしょう。
その女の子は寝ているから離れているだけで、ほかの子どもが降りるときに気がついて起こしてくれるだろう。
そう思っていました・・・。
いよいよ降りる駅のホームに電車が滑り込み、電車の速度が落ちていきますが、まだ女の子は寝たままです。
自分は降りるために席を立ちながら、他の子どもに目線を飛ばしますが、女の子に近寄る様子は確認できません。
これが同じ年くらいの子どもであれば、気づかないのは仕方がないかもしれませんが、もう少し年齢が上の高学年であれば、気がついて起こしてくれるだろうとソチラに目をやっても、やっぱりダメです。
もちろん他の大人が気が付いてくれればいいのですが、それもダメ。
頭の中で「うわぁぁぁぁぁぁ!」とか叫びながら電車を降りますが、そのとき閃きます。
「そうだ!外から窓をコンコンだ!」
そう思って女の子の座る場所に近づいた瞬間、漫画の効果音の表現で「はっ!」というのがピッタリあう感じで、女の子が起きました。
「やった!間に合った!」
しかし、次の瞬間、無常にも扉を閉める音楽が流れてきます。
「急げ!間に合え!」
祈るようにホームから見ていましたが、低学年の女の子には周りの大人を押しのける体力はなく、結局その女の子を乗せたまま、電車は走り出しました。
走りだした電車の中、その女の子の顔には「やっちまった~」と書いてありました。
少し前に、酔っ払って道端で寝て財布を失くした自分も、落としたことを気がついた瞬間、同じような顔をしていたんだろうなぁ~と思いながら、「わかるよ、キミの気持ち・・・」と心の中でつぶやいておきました。
以上。
果たして、起こすべきだったのか?
それとも、放っておいて正解なのか?
あと、見殺しにした小学生たちは、何を考えているのか?
とりあえず悶々とした気持ちで、その日の仕事に向いました。
でわ、股!!
クリックしてもらえると助かります。