どうも、マスクド・ニシオカです。
自分と嫁には子どもがいません。
なので子育ての、本当の大変さを知りません。
ただ、自分がスイミングスクールのコーチという仕事を長くやってきたので、それとなく子どもを相手にするのは大変だということを理解しているつもりですが、それでも「つもりレベル」であり、本当のところは子育ての経験が無いのでわかっていません。
ところが、そんな子育て経験のない二人が、「子育て」についての大変さを理解することになる夜がありました。
といっても本当にちょっとだけですが、子育てって本当に大変だと思った夜の話です。
甥っ子からの突然の連絡
嫁さんの妹さんの子ども、つまり甥っ子から、突然嫁さんにLINEで連絡がありました。
「おばちゃん、家に行ってもいい?」
実はその日は、甥っ子が必死で勉強してきた国家試験日で、どうやら自己採点の結果、あと1点でダメだったらしいのです。
そのやり取りがあって、嫁さんから励ましのメッセージを送った後の「家に行ってもいい?」です。
しかもそのあとには「おっちゃん帰ってる?」も加わります。
我が家では晩ゴハンを食べ終えてノンビリTVを観ていただけなので、甥っ子の来訪はまったく構わないのですが、来る理由がわかりませんので、ざわざわし始めます。
理由がわからない
甥っ子が我が家に来る目的がわからぬまま、嫁さんは甥っ子を近くの駅に迎えに行き、自分は部屋の片付けをして迎え入れる準備をしました。
といっても年に数度顔を合わせている気楽な関係ですので、大した準備もしないのですが、わざわざ甥っ子が我が家に来る理由がわからず、いろいろと考えを巡らせます。
- 試験に落ちたことで就職できなくなったので、スイミングスクールの仕事をしている(ことになっている)おっちゃんに、どこか就職先を紹介してもらえないか?の相談
- 落ちたのが国家試験であり年に一度しか受験できないので、浪人するための学費やらなんやらにかかるお金の援助の相談
- 試験に落ちた憂さ晴らしに、愚痴を聞いて欲しい
- 試験に全く関係の無く、ただ近くに来たから寄っただけ
どの妄想にしても、甥っ子が明るい性格なので、笑顔で「ダメでした~!」くらいのノリで我が家にやってくるというのがベースにあり、その次に何を言い出すのか?と考えて並べて、それなりに心の準備をしていました。
一方、そのころ嫁さんは
これは後から聞くことになるのですが、近くの駅に迎えに行った嫁さんが目にしたのは、両膝に手をついてうなだれる甥っ子の姿でした。
しかも近づくと、目を真っ赤にしています。
聞くと試験を終えてから、自宅に帰れなくなったとのこと。
試験が終わった後、一緒に試験を受けた仲間で答え合わせをし、一度はギリギリでも合格ラインと判断できたので、応援してくれた家族に喜びを爆発させたのですが、念のために確認すると1点足りない・・・何度やっても1点足りない・・・
試験を受けるために学校に通わせてもらった上に応援までしてくれた家族に、どんな顔をして会えばいいのかわからす、気がつけばずっと電車に乗ったまま泣いていて、思い浮かんだのがおばちゃんとおっちゃんの顔だったそうです。
それを知らない自分は・・・
確かに試験に落ちたことは知っていましたが、まさかそんなに落ち込んでいるとは思っていないので、きっといつもの明るい感じの甥っ子の顔が見れると思っていました。
ところが玄関を開けると、明るく振舞っているフリだけの甥っ子が立っていて、指でチョンと押せば倒れてしまいそうな状態です。
さすがにそれを見て全ては理解できませんが、「これは・・・思ってたのと違う」ということだけはわかりました。
そして、これは長い夜になりそうだと確信しました。
とりあえず話を聞こうじゃないか
自分も嫁さんも子育てはしてませんが、甥っ子と同じくらいの若い人と仕事をした経験があります。
その経験から、こういうときはとにかく吐き出させることが一番となり、とにかく話を聞きだすことに徹しました。
一度はいけたと思ったのが、実際はダメだったとわかってショックが大きいこと
家族からだけじゃなく、いろんな人に応援してもらったのに、合わす顔がないこと
学校の先生から「1点に泣くなよ」と言われていたことが、本当になってしまったこと
それ以外にもいろんなことが入り混じり、とにかく負のオーラが甥っ子を襲い掛かったようです。
もちろん試験に落ちたくらいで死ぬわけでもありませんし、来年も受験すればいいわけで、その来年までをどう過ごすか?前向きに考るだけの話なのですが、これまでの人生で大きな挫折を経験していない甥っ子にとっては大変なショックで、マジメが故に重荷を背負っているようです。
おっっちゃんのアドバイス
ひとしきり聞きだした後、ちょっと落ち着いた様子でしたので、話してみました。
「おっちゃんらのように長く生きていると、そのときは辛かったけど、後から振り返ってみればアレで良かった。と思えることがある。」
「今回試験がダメだったことも、今はショックを受けるし、応援してくれた人に申し訳ないとも思うだろうけれど、試験がダメだったからこそ言えることやできることがあるはず。」
「もちろん今すぐにそれを理解しろなんていわない。ただ、きっといつかそれがわかるときが来る。」
おばちゃんのフォロー
それを聞いた嫁さんが、こんな話をしだしました。
「アナタがまだ小さかった頃、近所の田んぼに入って遊んでいて、そこの人から「田んぼには農薬が入っているから、一週間で死ぬぞ!」と怒られたことがあって、それを真に受けたアナタは、七夕の願いことに「まだ死にたくない」って書いたでしょ?」
「もちろん大人の冗談なんだけど、そのときは真剣に思っているからそう書いたわけであって、今となっては笑い話じゃない。」
「今回のことだって、おっちゃんが言うように長い目で見れば、笑える日が来るのよ。」
さすが姉さん女房、ナイスフォローです。
重荷が下りた甥っ子
それを聞いた甥っ子はまた話をし、そしてそれを聞くおっちゃんとおばちゃん。
そうやってだんだんと背負っていた重荷を下ろしていき、最後にはいつもの明るくて元気な甥っ子を取り戻しているように見えました。
もちろん自宅に帰って、家族に顔を合わせることから逃れることはできません。
ただ背負っていた重荷が下りた分だけ、足取りは軽くなりそうです。
嫁さんが「駅まで送っていこうか?」と聞いたのを、「大丈夫!」と元気よく返事した声でなんとなくそう感じました。
甥っ子が帰ったあと
甥っ子が帰ったあと、嫁さんから駅まで迎えに行ったときの様子を聞き、それに比べたら元気になってくれてよかったと、2人で安堵しました。
そして、もし自分たちに子どもがいたら、こんな風になっていたのかなぁ~と。
ちょうど結婚してすぐに生まれた甥っ子は、自分たちに子どもがいたらの年齢です。
もし子どもがいて、いろんなことで落ち込んでいたら、こうやって時間をかけて話を聞いて励ましていただろうか?
甥っ子だから、滅多にないことだから、できたのだろうか?
そんなことを嫁さんと話ながら、夜はふけて行きました。
そんな夜のお話でした。
<追記>
そんな甥っ子とのエピソードですが、実は続きがありまして・・・
よろしければ読んでやってくださいな。
でわ、股!!
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