どうも、マスクド・ニシオカです。
スイミングスクールで働く人間として、夏になるとどうしても気になるニュースが出てきます。
1日午後、三重県四日市市の小学校のプールで、この学校の3年生の男子児童が溺れているのを監視にあたっていた保護者が見つけ、病院に搬送されました。消防によりますと、搬送された時、児童の意識はなかったということで病院で手当を受けています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170801/k10011083831000.html
例えそれが学校のプールであろうと、海や川といった自然の中であっても、「溺れる」という文字がニュースに載ると、どうしても 「明日はわが身」と思ってしまうので、スルーできません。
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今回の四日市市の小学校で起きた溺水事故について、前述したニュースをさらに読むと、ある程度の状況がわかります。
事故があったプールは25メートルプールで、児童は水深60センチの低学年用のコースでぐったりしていたということで、教育委員会は溺れたと見ています。
プールは夏休みに合わせて開放されていて、当時は62人の児童がいて、保護者6人と指導員1人で監視にあたっていたということです。教育委員会が詳しい状況を調べています。
児童は保護者によってプールから引き上げられ病院に運ばれて手当てを受けていますが、消防によりますと搬送された時に意識は無かったということです。
状況その1 水深60センチ
プールの水深が60センチというのはかなり浅く、溺れたのが小学校3年生で、その平均身長が130cmと考えれば十分足が届く水深です。ただ、人間は水深30センチあれば溺れます。プールが浅い=溺れないということです。
状況その2 62人の子どもに対して監視員7人
25メートルとは書かれていますが、何レーン(コース)とは書かれていません。なのでプールの広さがはっきりしませんが、平均的な6~7レーンとした場合、12~15メートルとなります。で、その中に62人の子どもがいるとして、この状況は混雑はしていますが、大混雑とまではいえません。
監視員については「保護者6人と指導員1人で監視」とありますので、合計7人となります。ただ、この人数で交代しながら監視を行っていた可能性もあるので、最大7人の最小1人と考えられます。最大の7人であれば十分な監視の目があるといえますが、最小のひとり、もしくはそれに近い監視員の数だとすると十分とはいえないでしょう。
状況その3 保護者が引き上げたときには意識なし
意識が無かったということは、溺れてからある程度の時間が経過していることが考えられますが、この辺は専門(医師)ではありませんので、詳しくはわかりません。
ただ、保護者が引き上げたということが書かれていますので、現場は相当なパニックになったことは間違いないでしょう。
状況から考えられること
事故の詳細については詳しいことがわかっていません。なので、軽率なことはいえませんが、この状況、浅いプールに足が届く身長、子どもの数はそれほど多くなく、監視員の数も十分、それだけを見るとそれほど危険な状況ではないといえるでしょう。
しかし、子どもは溺れ意識不明となりました。それが事実です。なぜ溺れたのかは、調査が入って真相が明らかになっていくでしょうが、今後予想されることは「臭い物には蓋を!」理論で、プール開放は行われなくなっていくのではないでしょうか。
いやらしい話、スイミングスクールに勤める自分としては、今回のようなことが続いて学校のプール解放が中止になって、子どもがスイミングスクールに来るようになる流れや、監視をプロであるスイミングスクールのスタッフに依頼されるようになることも歓迎ムードなのですが、なんだかそれもちょっと寂しい話です。
そこでプール監視のコツを書いてみることにしました。
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プール監視のコツ
コツその1 絶対安全はないと思うこと
まず最初に、プール監視で一番大切なことは、「絶対大丈夫」と思わないことで、「いつも危険」と思い続けることです。当たり前ですが、それは大変しんどいことです。疲れます。しかし、子どもがプールに入っている以上、絶対の安全なんてないのです。
コツその2 死角を作らないための立ち位置を考える
プール監視をする場合、死角を作らないための立ち位置というのがあります。死角とは視野に対象となる人間が入っていないことであり、簡単にいえば見えていない状態です。図のようにプールサイドの四隅に立てば、距離はともかくプール全体を視野に入れることができます。基本的にはここに立って死角を作らないことが、プール監視の基本です。
コツその3 ピントを合わせない
絶対安全はないと考える、そして死角は作らない。それである程度の安全は守れます。しかし、それでも間違った監視のやり方をすると安全は守れません。それは、監視員がプールに入っている子どもにピントを合わせてしまうことです。ピントを合わせて見ると、ピントの合った部分以外は見えていても、異変には気が付きにくくなります。
つまり監視をする場合は、全体をぼや~っと見る感じでピントをどこかに合わせてはいけません。
これまでに実際にあった例として、監視員がいるにも関わらず子どもが溺れているのは、監視員がプールを見ているにもかかわらず、ひとつの場所にピントを合わせていたからです。例えばそれが子どもの帽子が脱げたり、水中メガネがズレていたり、そういったことが気になって、ピントの合わなくなった場所で子どもが溺れているのに気がつかず、事故となっています。
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最後に
もちろん、この3つのコツを実践しても、絶対安全とはいえません。安全だと思った時点でコツ1を理解出来ていないことになりますし、絶対安全なんてないからです。それでも、どうでしてもプールで溺れない方法を答えよ!といわれたら、答えはひとつです。「プールに入らないこと」
そして、人が溺れる理由は簡単ではないのです。今回の場合でも、子どもが溺れた理由を調査されるようですが、たぶん、まず持病の有無が確認され、もし心臓疾患などがあれば、それが理由と疑われます。おそらくプールで遊泳中に発作が発生し、体の自由が奪われて溺れたのであろう、となるわけです。
しかしそうではない場合、溺れた理由はハッキリしないで終わることのほうが多いのです。なぜか?それは、その瞬間を誰も見ていないからです。
もちろん、溺れた本人が回復して、記憶がハッキリすれば原因は明らかになりますが・・・そんなことよりも、まずは本人の回復を祈りたいと思います。
でわ、股!!
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