今朝のヤフーニュースより
富山県高山市にあるスイミングスクールで、5歳児が亡くなったそうです。
もうスイミングスクールの仕事から離れて6年くらい経ちますので、過去の人間として業界に口を挟むつもりはないのですが、こういうニュースを見るだけで、やっぱり胸が締め付けられますので、ちょっとだけ書かせていただきます。
なぜ事故が起きたのか?
詳しいことはわかりませんし、あくまでも憶測ですが、ニュースによると事故が起きたのは検定(泳力テスト)日であり、5歳児が沈んでいるのが発見されたのが、その検定が終わって自由時間だったとあります。
沈んだ状態で発見された時間は、すでに全員の検定が終わって自由時間になっていたということです。
過去の経験から言わせていただくと、コーチは検定が終わったあとに何らかの作業をすることが多く、例えば合否結果や不合格理由を名簿に書いたり、子どもに渡すための用紙に結果やメッセージを書き込んだりします。
それらの作業があった場合、少なくともコーチは手元に集中して子どもから目が離れますし、もっと酷い場合は固定された台などで書きやすくするために、プールに背を向けて作業に没頭する場合があります。
この時間、安全を優先するのであれば、子どもをプールサイドに座らせて待たせるべきですが、当然、子どもからは「遊びたいー!」と言われ、保護者からは「無駄な時間では?」と思われるので、コーチとしては辛いところです。
そのために他に監視のコーチが3人いて、20人の子どもに対しては十分な人数が配置されていたとは思うのですが、監視の人数が多ければ安全というのは大きな間違いで、逆に複数の監視によりお互いが「見ているだろう」と過信してしまい、簡単に誰も見ていない空間が生まれ、今回のような事故が起きるというのが、ここに書かれています。
ほかの生徒が沈んだ拓杜ちゃんに気付き、近くにいた大人が拓杜ちゃんをプールから引き揚げたということです。
子ども20人に対して監視役のコーチが3人いても、5歳児が沈むところも沈んだあとも見つけることが出来ず、見つけたのは他の子どもですから、大変残念ですが・・・。
身も蓋もないことを言うと、スイミングスクールに100%の安全はありません。
絶対に溺れないためには「水に入らない」だけであり、馬鹿にしていると思われるかもしれませんが、それしかありません。
どんなに浅いプールでも溺れますし、どれだけ監視員がいても溺れます。
溺れないようにするためにスイミングスクールに通わせるのですが、そのスイミングスクールで溺れる可能性があることを、十分に理解しておくべきです。
ただ、最後に、長年お世話になった業界のために言わせていただくと、子どもに渡す合否結果などを書いた紙も、検定後の自由時間も、決して安全ではないことはわかっていても、サービス向上のために行っていて、お客様に喜んでいただこうとしているからであり、いかに安全とサービスの両立に苦悩しているかだけは、書いておきます。
でわ、また