どうも、マスクド・ニシオカです。
26年以上スイミングスクールのコーチをやってきましたが、コーチがどれくらいの指導力を持っているか、なかなか見抜くのは難しいものです。長年やってきた自分でもすぐにはわかりません。となると、子どもを預けるお母さんにはもっとわからないはずで、それをコーチに直接聞くわけにもいかず、結局、保護者同士で情報を共有して、噂話でそれを決めているかもしれません。しかし、それは意外と短絡的な理由で、こんな感じだったりします。
- 泳ぐのが上手い(速い)から
- 優しそうだから
- 昔からいるから
- イケメンだから
この理由だけだと、ある程度若い、水泳選手をやっていて、生まれつきイケメンのコーチでも、全然指導の勉強をしていない、子どもの心理のわかっていないコーチということになってしまいます。
そこで、コーチの指導能力を見抜くひとつの方法としてこういうのがあります。
そのコーチは、子どものオシッコを我慢させられるか?
そのコーチがオシッコを我慢できるかどうかじゃありません。子どもがオシッコに行きたくなったときに、すぐに行かせるか、一度我慢させるかです。
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スイミングスクールでのトイレの考え方
スイミングスクールでは、基本的に勝手にトイレに行くことは出来ません。それは、低年齢の自分でトイレに行くことが出来ない子どもから、選手クラスの子どもでも同じです。コーチの管理下、というとなんだか厳しい感じですが、コーチの許可がないと行ってはいけません。もし、子どもが勝手にトイレに行っていることを、気が付かないコーチがいるとしたならば、それは子どもが溺れていることを、気が付かないのと同じになるからです。その時点で、そのコーチはOUTということです。
オシッコを我慢させて大丈夫なのか?
保護者の方で、これを読まれていると、「オシッコを我慢させるのは良くないこと」と思われるかもしれません。もちろん、自分は医者ではありませんので、医学的なことは正確にはわかりません。ここでは、水泳のコーチとして長年やってきた経験だけで、書かせてもらっています。
それと、勘違いしてほしくないのは、一度もトイレに行かせない、ずっと我慢しなきゃいけない、というのではなく、一度だけ我慢出来るかどうかです。大人でも同じですが、オシッコがしたくなったとき、つまり尿意をもよおしたときに、その尿意を忘れることがあります。それは自分で忘れるようにすることもあれば、何か別の要因で忘れることもあります。尿意をもよおしたからといって、すぐに漏らすわけではありません。
また、「オシッコを我慢すると膀胱炎になる」という説もありますが「オシッコを我慢することで膀胱を鍛える」という考え方もあります。膀胱にオシッコを溜めれる量というのは、大人になって増えますが、当然ながら大人になればオシッコ自体の量も増えます。なので、絶対どちらが正しいというわけではありません。もちろん、医者からSTOPが出ているのは別です。
大事なのは尿意を忘れさせることが出来るか?
子どもに我慢することを教える、という考え方ではありません。そのコーチが尿意を忘れさせることが出来るか?という考え方です。年齢に関わらず、子どもはトイレに行きたがります。そして、その尿意が本物かどうかは本人にしかわかりませんし、それは演技かもしれません。
それが本物の尿意かどうかを見抜くことは、その子どもとレッスンを行った回数に比例してわかりやすくなりますが、それは経験でしかありません。しかし、子どものコントロールが上手いコーチ=指導力のあるコーチは、初めてレッスンする子どもでも、子どもの尿意を忘れさせることが出来ます。
保護者の目線
保護者の方は、子どものレッスンの様子を見ることが出来ますので、子どもがモジモジしだすと、気が気ではありません。中にはプールサイドまで飛び出していって、コーチに直接声をかけたり、自分で子どもをトイレに連れて行くお母さんもいます。
他のコーチは、それをどう思うかわかりませんが、自分はそういうときはチャンスを潰したと思います。お母さんがチャンスを潰したのではなくて、コーチが子どものモジモジには気がついていたけれど、お母さんの表情を見抜けなかった。お母さんが行動を起こしたのを見逃したコーチが悪いのです。お母さんは悪くない。親心ですからね。上手いコーチは、お母さんが行動に出た時点で、お母さんの目を見ます。「大丈夫、任せて」と。
それと、子どもがオシッコをしたくなって、コーチにすぐいえる子どもとそうでない子どもがいます。コーチにオシッコというのを、恥ずかしいと思っている子どもにとっては、かなり勇気のいることです。そこでコーチがオシッコをしたいのか聞いたら、その子どもは自分からいう勇気は持てないままです。
相手が子どもだからこそ、その関係性は純粋で単純です。「あのコーチ、トイレに行かせてくれない」子どもからこういわれれば、そのコーチはOUTです。そう思わせないコーチが指導力の高いコーチです。
コーチの本音
スイミングスクールでのコーチの仕事は、お客さんに水泳を安全に指導することです。それには必ず限られた時間があり、その時間で料金が決まっています。多くのスイミングの案内には、「レッスン60分」なんて書かれていますが、ほとんどのスイミングが実質50分くらいしか水泳指導をしていません。
そして、これについてご意見をいただくことが、たまにあります。「案内に60分と書いてあるが、毎回50分しか泳いでいない、ということはレッスン6回受けたら、1回分(60分)損していることになる。だから、その分の金を返せ」というのは実際にある話です。
なので、コーチたちは時間にシビアになる必要があって、それはトイレの時間にも大いに関係してきます。子どもの年齢が高ければ、コーチに確認さえすればひとりでトイレに行けばいいだけですが、低年齢の場合、別の子どもがトイレに行きたいといいだせば、1回のレッスンの間に何度もトイレに行かねばならず、その時間だけでレッスンの3分の1持っていかれます。
保護者の方からすると、自分の子どもがモジモジし始めて、トイレに行きたがっているのに、コーチが気がついていない、と思われるでしょう。ただ、コーチは本当に気がついていないかもしれませんが、もしかしたら、気がついていて、子どもが自分でいってくるのを待っている場合もある、と覚えておいたほうがいいでしょう。
まとめ
- コーチの指導力は、子どもがオシッコをいいだしたら見分けるチャンス
- コーチが、すぐにオシッコに行かせるようなら、疑ってかかる
- 子どもの尿意を忘れさせることが出来たら、そのコーチは上手いコーチかも
- 子どもがモジモジしたら、コーチにいうまで見守ってみる
最後に
最後までお読みいただきありがとうございます。これをご覧になっている保護者の方には、「オシッコを我慢させることが、重要とは思えない」と理解してもらえないかもしれません。もっと水泳の知識を知っているとか、コーチ自身が泳げることとか、そういったほうがわかりやすいと思います。しかし、水泳以外でもそうだと思いますが、コーチという仕事は、知識があっても伝えることが出来なければ勤まりません。
たとえオリンピックに出てメダルを取ったコーチでも、人に教えるのは全くの別ものです。大事なことは1人の人間が複数の人間を同時にコントロール出来るかということで、それが出来なければ、水泳のコーチとしては失格です。命令すれば出来るのであれば誰でもコーチになれます。命令ではなく、自分でそうしたいと思わせることが出来るか、それがここでいうコントロールで、掌握ともいいます。
人間、誰でもオシッコはします。それを1回くらいならば我慢することも出来ます。それを我慢させられないコーチが、バタフライやクロールの呼吸など、もっと難しいことを、教えることが出来るとは思えません。指導というのは、小難しい御託を並べて偉そうにすることではなく、誰でも出来る簡単なことを、自分でそうしたいと思わせることが出来るかどうかです。
繰り返しとなりますが、自分は医者ではありませんので、オシッコを我慢することが医学的にどうなのかわかりません。医者から我慢することが良くないといわれているならば、それは間違いなく医者の判断に従うべきであり、ここに書かれたことは無視してください。
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水泳のコーチの方へ
ここからは、もしかするとスイミングスクールで働かれている方や、水泳指導経験者がこれを読まれているかも、という自惚れを持って、蛇足ですが書かせていただきます。
ここに書いた、「オシッコを我慢させられる」という判断基準は、あくまでも自分の考えによるものですので、絶対ではありません。経験上、保護者の方からは、その考え方を理解してもらえないこともありまして、その場合は柔軟に考え、その子どもには出来るだけトイレに行ってもらうようにしていました。
あくまでも、スイミングスクールの仕事はサービス業であり、お客さんの望みをかなえる場所であって、こちらの考えを押し付ける場所ではないと思います。こちらがお客さんに譲れないことは、「安全を守るためにしたがってもらう」ということだけで、仕事としてプロとしてやるのですから、当然のことだと思います。
自分は会社を辞め、部外者となってしまったかもしれませんが、こうやって水泳指導のことを書き出すと、止まらなくなる熱はまだ持ち合わせていると思います。ので、いろいろツッコミどころもあるかもしれませんが、お許しください。そして、日々の業務、大変だと思いますが、お体にはご自愛ください。
あと、 肝心の「子どもにオシッコを我慢させる方法」は企業秘密ってことで、ひとよろしく。
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