元プロレスラーの輪島大士さんがお亡くなりになられました。
大相撲の第54代横綱輪島で、北の湖とともに輪湖時代を築いた輪島大士氏(本名・輪島博)が死去したことが9日、分かった。70歳だった。
https://www.nikkansports.com/battle/sumo/news/201810090000300.html
元プロレスラー輪島大士
ニュースや新聞などでは「元横綱」と報じられるのがほとんどですが、プロレスファンである自分としての輪島さんといえば「元プロレスラー」であり、あくまでも相撲界出身のプロレスラーというイメージです。
確かにプロレスラーとしては大成せず、その活動期間も2年ほどという短さではありますが、いちプロレスファンの脳裏に焼き付いているレスラーであります。
そして、たぶん他では「元横綱」としてのエピソードがたくさん披露されると思いますので、ここでは「元プロレスラー」としての輪島さんを簡単ではありますが書いてみます。
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国内デビュー戦にモリモトくんが放ったひと言
輪島さんが大相撲を離れ全日本プロレスにやってきたのが1986年。自分が高校生の頃でした。
その当時プロレスにハマっていた自分には、モリモトくんという、TV中継でプロレスを観た翌日に試合の感想を語り合う友達がいました。
自分は相撲に詳しくなかったので「なんだか凄い力士が全日に入団するらしい」くらいにしか思っていませんでしたが、そのモリモトくんが相撲に詳しくて、「凄いくらいじゃないの!めちゃくちゃ凄いの!」と熱弁してくれました。
そんな輪島の国内デビュー戦はかなり注目されて、しかも相手はタイガー・ジェット・シンということですから、高待遇であることは間違いありません。
しかしゴングが鳴る前にシンが襲い掛かり、そのまま終始シンがペースを握ったまま試合は進み、最後は反則裁定(輪島の負け)で試合は終わるのですが、勝ち負けなんてどうでもよく、とにかく輪島さんの動きの硬さとぎこちなさが目立つ試合となりました。
当然、注目されたこの試合は自分もモリモトくんもTVで観ており、翌日学校で顔を合わせて感想を述べあうのですが、そのときにのモリモトくんのひと言が、なぜか今でも忘れられないのです。
「シンを相手に、背中を見せたらアカン!」
上記動画の2:30~を観て頂ければわかるのですが、輪島さんがコールを受けた後、ガウンを脱ぐために自コーナーの方に向いてしまい、ほんの数秒ですが対戦相手のシンに背中を向けるシーンがあり、そのことを指摘しています。
いくら元横綱であってもプロレス界では素人同然、しかも相手は超一流のヒールであるタイガー・ジェット・シン。決して相手から目を離さない!くらいの緊張感を持たないといけないのに、相撲の感覚が残っているのか仕切りなおして背中を見せている。この時点で輪島さんの負けは決まったようなものだ!というのがモリモトくんの感想です。
自分としては、輪島さんの動きのぎこちなさなどにダメ出しをしようと思っていたのですが、モリモトくんの鋭い指摘に意見を出せなくなり、ひとしきり「なるほど~」と唸ったものです。
もちろんその当時は高校生ですから普通に純粋にプロレスを観ていたのですが、あれから30年近くが経って観てみると、何とか素人同然の輪島さんを生かそうとするシンの上手さが光る試合で、全日本プロレスとしては輪島さんを売り出すのに必死だったことが伺えます。
そりゃあ相撲界でトラブルを起こした輪島さんを引き入れたおかげで、相撲協会から両国国技館の使用禁止を言い渡されるマイナスを喰らっているわけですから、その分を取り戻すためには必死になりますよね。
長州力の顔面襲撃事件の要因?
かつて新日本プロレスで前田日明が長州力の顔面を試合中に蹴り上げて、それが原因で前田日明が新日本プロレスから追放されるという事件(事故)がありました。
全日本プロレス所属であった輪島さんはこの件には全く関係ないのですが、その要因であったことが後年明らかにされます。
当時、同じ相撲出身だった天龍源一郎が、輪島さんの闘志に火をつけるために、わざと輪島さんの顔面にシューズの紐の跡が残るほどの蹴りを見舞い、それを輪島さんが受けるという、ド迫力のシーンが観られました。
それを観た前田日明が「このままではアカン!」と危機感を抱き、「コッチでもやってやろう!」となって相手に選んだのが長州で、それが前述した事件に繋がったと前田本人が後年語っています。
もちろん輪島さん本人は意識などしておらず、あくまでも結果論ではありますが、それでもプロレスファンとしてはこういう繋がりが面白く、好きなエピソードのひとつで、そこに輪島さんが入っているというのが何ともたまりません。
残念ながらプロレスラーとしては大成せず、2年余りでひっそりとプロレス界から姿を消した輪島さんですが、今回紹介したエピソード意外にも、「ゴールデン・アームボンバー」という必殺技が、後に全日四天王のひとりである田上明の得意技「喉輪落とし」となり、さらに海外では「チョークスラム」として広がったわけですから、その功績は間違いなく偉大なはずです。
最初に書いたとおり、ほとんどのメディアでは「元横綱」として書かれるでしょうから、せめてこのブログだけは「元プロレスラー」として書かせていただき、お悔やみを申し上げます。
輪島さん、お疲れさまでした。
ご冥福を祈ります。
ゆっくり、お休みください。
でわ、股!!
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