どうも、マスクド・ニシオカです。
先日、このような記事を書きました。
昭和生まれの自分が経験した、「無から有」について書いたのですが、書き終えて時間が経過して、「はっ!ウォシュレットのことを書くの忘れてた!」とか思いつつ、もうひとつ書けなかったことを思い出しました。
ゲーム筐体という選択
前述した記事にも書きましたが、当時中学生だったころ、ちょうど家庭用ゲームが世に出回り始めていて、ファミリーコンピューター(以下、ファミコン)を手にしたのもその頃でした。
それ以前はゲームといえばゲームセンターに行くのが一般的(?)で、自宅で好きなだけゲームを遊ぶには、ゲーム筐体そのものを手に入れるしか方法がありませんでした。
もちろん、すでにパソコンは存在していましたが、パソコン自体もまだ高額で、しかも今みたいにOS(オペレーションソフト)がないので、パソコンを買っても使いこなすことが出来ず、そう簡単に買ってもらえる代物ではありませんでした。(後の高校入学祝いでFM-7を買ってもらいましたけど)
かといってゲーム筐体もそう簡単に買えるものではなく、というか、そもそもどこでいくらで売っているかもわかりません。
しかし1回100円で遊んでいるゲームが、筐体さえあれば何回でもできると思うと、喉から手が出るほど欲しいモノでした。
そんなカネはない!
当時ゲーム筐体がどれくらいの値段か正確には知りませんでしたが、「たぶん100万以上はするでぇ~」と友人と話していました。どこから100万円という数字が出てきたのかわかりませんが、まだネットの無い時代の中学生の情報収集力はそんなものです。
もちろんそんな大金はありません。まだアルバイトもしたことのない自分たちには、親に買ってもらうという選択肢しかありませんでした。
ただ、可能性として親がゲームに興味があって、ゲーム筐体を買ってしまう家があるという、これまた噂だけが友人の間を流れました。今から35年ほど前の話で、親の年齢も3~40代だとすると、有り得なくない話です。
残念ながら自分の親がゲームに興味を持つことは無く、「ゲーム筐体のある家」という噂は、やっぱり噂で終わるのだと、そう思っていのですが・・・
目の前に住む同級生が!?
実家の目の前にイシザワくんという同級生が住んでいました。
家が近いことも同級生なこともあって仲良くなり、よく遊んでいました。小学生のときはコマ回し(コマ鬼)とか竹馬とか、なんだかレトロな遊びですが、ゲームが無かった時代の小学生の遊びってそんなものでした。
それから中学生となり、すでにファミコンを手に入れていたかどうかは忘れましたが、まだ「ゲーム筐体のある家」という羨ましい噂は消えていませんでした。
そんなある日の朝、他の同級生と一緒に登校するためにイシザワくんを呼び出しました。すると彼は、自室のある2階の窓から顔を出し、自分たちにこう言いました。
「パックマンの筐体を買うたで」
もちろん誰もが信じませんでしたが、イシザワくんは余裕まんまんの笑顔で、さらにこう言い出しました。
「ほんじゃ、お金入れたときの音、聞かせたるわ」
イシザワくんの2階から聞こえるあの音!!
さぁ、これを読んでいるみなさんの頭の中には、あの音が流れているでしょうか?
パックマンの筐体にコイン(100円玉)を入れたとき、「コヴォッ」という独特のデジタル音が流れるのですが、これがイシザワくんの家の2階から聞こえ、続けてあのオープニングの「ピタトトタトト~♪」のテーマが流れてくるのです。
その場にいる同級生は驚き「すげー!」と声を上げましたが、これから学校に行く時間です。学校をサボってイシザワくんの家に上がりこんで、気が済むまでパックマンをやるほどのワルでなかった自分たちは、完全にヘビの生殺し状態で、学校に向かいました。
当然、学校への道中イシザワくんは「どうやってパックマンの筐体を手に入れたのか?」の質問攻めに合い、学校が終わってから誰が一番にパックマンをやるかの小競り合いが起きました。根性ババ色な自分は「イシザワくんの家に近い人から」という、完全に自分が有利な条件を提示しましたがあっさり却下され、その後学校についてもその議論は続きました。
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いよいよパックマン(ゲーム筐体)を!
悶々とした時間を学校で過ごし、やっと帰宅してイシザワくんの家に上がりました。
彼の部屋には何度も行っているので、その部屋にドーンとゲーム筐体が置かれているのを想像しながらワクワクしていましたが、どうも様子が違います。
イメージとしてはテーブル型の筐体でしたので、かなりのスペースを占領していると思ったのですが、部屋には見当たりません。
そこで、もしかして!と思ったのが、筐体ではなく基盤なのか?ということです。
その当時ゲーム筺体について調べていると、どうやらゲームの中枢には基盤というものがあって、筺体がなくても基盤とコントローラーと画面だけあればゲームができる、という適当な情報を耳にしていました。(いま考えると間違っているのですけどね・・・)
それならばそれほど広くない部屋の押入れに、隠されていてもおかしくありません。
そうやってざわつく自分たちをイシザワくんは座らせて、こう言いました。
「出すからちょっと目を瞑ってて」
やっぱりそうだ!と確信しながら目を瞑り、耳に集中すると、なんだかガサゴソと音がしています。
そしてしばらくすると「コヴォッ」とアノ音が聞こえてきます。
キターーー!と思って目を開けてみると
あれ?部屋の風景は何も変わっていません。
ただ、そこにはニヤニヤと笑うイシザワくんが・・・
パックマン(ゲーム筺体)の正体は!?
それまでゲームセンターに何度も通い、自分はお金が無いから数回しか出来なくても、他の人がするのを何度も何度も見ていましたから、その音を聞き間違えることはありません。
絶対にパックマンの音なのです。
しかし、その音の正体がわかりません。
完全にキツネにつままれた自分たちに、イシザワくんが笑いながら見せてくれたのが・・・
- アーティスト: ゲーム・ミュージック
- 出版社/メーカー: サイトロン・デジタルコンテンツ
- 発売日: 2001/03/23
- メディア: CD
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これは当時発売されたレコードです。(今はCD)
ゲーム会社であるナムコとYMOのメンバーだった細野晴臣さんプロデュースで作ったレコードで、日本初のゲームミュージックサウンドトラックです。
このアルバムにパックマンも収録(3曲目)されており、その部分だけを自分たちに聞かせ、「ゲーム筺体を買った」とイシザワくんは見事な嘘を付き、華麗に自分たちを騙したのです。
(パックマンは6:30から始まります。)
後から考えれば、イシザワくんの取った行動には訳があることが理解できます。
その当時YMOに傾倒していた自分たちは、YMOと名の付くレコードを買い漁りたかったのですが、まだ中学生ということもあり、お互いに買ったレコードをカセットテープに録音しあう仲でした。
そこにYMOのメンバーである細野さん、高橋さん、坂本さんの3人が、それぞれソロでレコードを出していることを知り、YMOだけでなくソロアルバムも買うようになりました。
自分も細野さんと高橋さんのレコードを買い、それをイシザワくんに自慢して、カセットテープに録音させてあげていましたが、それを逆恨みじゃないけれど、「自分も自慢したい!」という感情から、このレコードを買ったのでしょう。
そして、買ったレコードを自慢するだけならつまらないので、ゲーム筺体を買ったことにすれば、もの凄い自慢になるだろうと思ったのでしょう。
もちろんこれは自分の想像であり、イシザワくんの本心は・・・聞いたかどうかも忘れてしまいました。
もちろん当時の自分たちは、このことでイシザワくんを糾弾することもなく、ただ単に「すげー!騙されたわ!」と大笑いし、自分は家が目の前なので、すぐに録音してもらうためのカセットテープを取りに走った、ような気がします。
最後に
あれから35年経ちますが、イシザワくんとは連絡を取っていません。
お互いの実家は今も目の前のままで、まだ両親が元気なうちは、いざとなればいつでも連絡を取れるだろうと思っていますが、それ以前に連絡を取る必要が生まれません。
何の噂も聞かないということは、たぶん元気なのでしょう。
そして今回、この記事を書こうかとパックマンについて調べていると、無料で遊べるサイトを見つけました。
(スマホではできないかも?PCの場合でも音が出ますのでご注意を)
あれから35年、ファミコンを買わなくてもゲーム筺体を買わなくても、パソコンがあればパックマンし放題の時代が来るなんて、本当に時代は変わったんだなぁ~と、しみじみ思いますね。
でわ、股!!
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