46歳で退職してブロガーになってみた

働けおっさんブロガー

26年勤めた仕事を無計画に辞めたおっさんの生き様を綴る

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スイミングスクールに泣いてやってくる子どものハナシ

もう30年近く前の話。

まだスイミングスクールのコーチとして駆け出しの頃、こんな光景を目にしました。

その日は朝から短期教室で、現場はバタバタ状態で、ほとんどのコーチがプールに入っていて、コーチ室に残っているのは責任者だけでした。

そこにかなりの音量で泣いてる男の子が遅れてやってきたので、担当予定のコーチが対応しようとすると、さっきまでコーチ室にいたはずの責任者がいつのまにか立っていて、泣いている子どもの手を引いてプールサイドを歩きだしました。

そして、そのままプールサイドを一周歩いて帰ってきたら、さっきまで大音量を放っていた男の子は泣き止み、まだ顔は強張っているものの、落ち着いた様子で担当コーチに引き渡されました。

そして、その責任者は何ごともなかったかのようにコーチ室に戻って行きました。

 

これを見た自分は

カッコイイーーー!!

と思いました。

 

ひとりで複数にの子どもを相手にしなければならないこの仕事は、泣いている子どもがいるかいないかで、その大変さが全然違います。

もちろん担当するコーチもベテランの方で、いざとなったら泣いている子どもを抱き抱えながらレッスンをするくらいは平気でやって退ける方なのですが、それでも泣いている子どもがいない方が、やりやすいのは間違いありません。

それを颯爽と現れて、プールサイドを一周歩いただけで解決して、何ごともなかったかのように去っていく。

普段はコーチ室で居眠りしていて、そのくせミスした部下には怒鳴り散らして、そこらへんにある物を投げつけるような、むちゃくちゃな責任者でしたが、きっちり仕事をするその背中は、めちゃくちゃカッコ良く見えました。

 

そんな光景を見てきた自分は、30年経った今もまだプールに入っていて、泣いている子どもがやってきたら、なんとかして泣きやませられないか?プールサイド一周歩いて泣きやませられないか?いや、プールサイド半周でどうだ?とやっています。

残念ながらその確率は100%とまでは行かず、結局泣いたままレッスンを終えてしまう場合もありますが、それでも泣いてやってきた子どもを必ず受け入れています。

というか、お客さんには申し訳ない考え方かもしれませんが、自分にとって、泣いてやってくる子どもは「腕試しのチャンス」であり、あのとき見た背中にどれだけ近づけたのか?そして「カッコイイー!」と思われる背中になっているのか?それらを確かめることが出来ます。

 

もちろん、世の中のスイミングスクールで働く全てのコーチが、同じ考え方をしているわけではございません。

自分はその背中を見てカッコイイと思ったのですが、それをカッコイイと思わない人もいるでしょうし、そもそも、そんなことをする上司(責任者または先輩)に出会えていないかもしれません。

なので、そういうコーチは子どもが泣いていても泣きやますテクニックは持ち合わせていませんし、場合によっては、早々に保護者に引き渡してしまいます。

それを見ながら「勿体無いなぁ〜」と思いますが、自分はもう責任者じゃないので、そういうことを指導する機会はありません。

ただ、せめて背中を見せられるように、今後も精進して参ります。

 

でわ、股!!