会社を辞めた理由
このブログを初めて読んで下さっている方もおられると思います。いつも読んで下さっている方もおられます。どちらにしてもありがとうございます。
自分は、46歳で20年勤めた会社を辞めて転職せずにブログを書いています。それまでやっていた仕事はフィットネス運営会社の社員でして、平たく言えばスイミングスクールの責任者でありコーチでもありました。
19歳のときにアルバイトで水泳のコーチを始めて、そこから正社員として入社することが出来ました、その後、会社が倒産するというピンチを迎えましたが、その会社の幹部の方たちが新たに会社を興し、そこから新しい会社で20年勤めてきました。
その会社を辞めた理由はいくつかあります。もともと一度倒産した会社をベースにして立ち上げた新会社ですから、業界の人からすると「そんなに持たないだろう」と思われていたようです。しかし、その会社にいた社員たちは全員会社の倒産を経験しているので、もう2度とあんな経験は味わいたくない!と一致団結していました。
しかし、会社を20年続けていくためには変わらないといけないことがたくさんあると思います。自分は会社の幹部でも経営に携わっていたわけでもないので、実際はどうなのかわかりません。しかし、社員として会社が立ち上がったときから見ている自分としては、ずいぶん変わったものだ。と思いました。
この、会社が変わったことが自分の退職の理由のひとつです。もちろん、会社はある種生き物ですから変化していかなければ、世の中というジャングルを生き抜いていかないといけません。だから、会社が変わることを否定するつもりはありません。それに自分がついていけなかっただけです。
会社を辞めたもうひとつの理由は、自分が一番慕っていた上司が会社を去ることを決めたことです。それは突然のことでしたが、必然のことでもありました。2人で酒を飲みながら『変わっていく会社をどうすれば元に戻せるか?』みたいなことを話しました。そのとき、その上司は取締役部長で自分は課長でしたので、そこそこ力はあったはずです。
しかし、いろいろやってはみたものの会社を変えることは出来ませんでした。だから、その上司が会社を去ると言いだしても何の不思議もありませんでした。それを聞いた自分は自分で退職を決めました。その上司に言えば止められることはわかっていましたが、その上司も会社を去るわけですから、強くは言えません。
お互い、次の仕事の事は何も決めずに会社を辞めることになりました。が、別にそれでも良かったと思っています。お互いに家庭があり、一家の大黒柱としてはまだまだしっかりしていないとダメですが、それでも変わってしまった会社に残るよりは新たな道に出一歩を踏み出して正解だったと思っています。
長々と書いてきましたが、これが自分が会社を辞めた理由として、このブログでも何度か書いてきたことです。物凄く簡単にまとめれば、たった2つの理由です。
- 変わってしまった会社に付いていけなくなった
- 世話になった上司が会社を去ることになった
もちろん、それ以外にも細かい理由がたくさんあるのですが、それは会社にいれば誰でも感じるようなことで、自分の能力が高ければ何とでもなることですので、退職の理由にはできないと思っています。
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会社を辞めた本当の本当のところ
会社を辞める理由を胸を張って言うのは、なんだか変な感じもしますが、退職を決めてからまわりのみんなから散々聞かれてきたので、ずっと前述したような話をしてきました。別に嘘をついているわけではありませんし。それを会社から咎められることもありませんでした。
しかし、とある本を読んでいて、ちょっと考えさせられました
のはなし にぶんのいち~イヌの巻~ (宝島社文庫 C い 6-1)
- 作者: 伊集院光
- 出版社/メーカー: 宝島社
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この本は、以前、自分がこのブログでアマゾンの欲しいものリストを公開したときにプレゼントしてもらった本で、伊集院光さんが書かれたエッセイ?コラム?です。送ってくれた方、本当にありがとうございます。アナタのおかげでこうやってブログの記事がひとつ書けています。
この本には、伊集院さんの身の回りに起こったことや、子どもの頃のおかしな経験談が書かれていて、自分の書いている文章に上手く反映は出来ていませんが、影響を受けている本です。
そこに、こんなことが書かれています。
伊集院さんは、昔、落語家だったことがあって、それを辞めてタレントとしての今があります。ある日、落語家の立川談志さんを自分のラジオのゲストに招いたときに、自分が落語を辞めた理由として、立川談志さんの落語を聞いて衝撃を受けたから。と話したそうです。
それを聞いた立川談志さんが「うまい理屈がみつかったじゃねぇか」と答えました。
今度は伊集院さんが、ヨイショするために言っていると思われたか?と感じて「本当です!」と返しましたが、立川談志さんが今度はこう返します。
「本当だろうよ。本当だろうけど。本当の本当は違うね。まず最初にその時のお前さんは落語が辞めたかったんだよ。『あきちゃった』のか、『自分に実力がないことに本能的に気づいちゃった』か、簡単な理由でね。もっといや『なんだかわからないけどただ辞めたかった』んダネ。けど人間なんてものは、今までやってきたことをただ理由なく辞めるなんざ、格好悪くて出来ないもんなんだ。そしたらそこに渡りに船で俺の噺があった。『名人談志の落語にショックを受けて』辞めるんなら、自分にも余所にも理屈が通る。ってなわけだ。本当の本当のところは『嫌ンなるのに理屈なんざねェ』わな」
これを聞いた伊集院さんは、こう書かれています。
図星だった。もちろん『ショックを受けて辞めた』ことは本当だし、嘘をついたり言い訳をしたつもりなどなかったが、自分でも今の今まで気がつかなかった本当の本当はそんなところかもしれないと思った。10年もの間、いの一番に自分がだまされていたものだから、完全には飲み込めていないけど。
立川談志さんが語った最後の部分。
本当の本当のところは『嫌ンなるのに理屈なんざねェ』わな
結局、退職するとなんで辞めるの?(辞めたの?)と聞かれることが必ずあって、会社を辞めて3ヶ月が経ったいまでもそれを聞かれます。格好悪いのと面倒くさいのとで、なんらかの理由が必要だからそれらしいことをのたまっているんだろうなぁと、そのために理由を作っているだけで、本当は自分の中にちゃんとした理由があるんだろうなぁと思います。
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立川談志さんが言うように、何か辞めるためのきっかけを探しならら、嫌々仕事をしてきました。給料が低いとか待遇が悪いとか、そんなことはあんまり考えていませんでした。でも、会社が変わってしまって面白くないと感じていたのは事実です。
でも、本当に会社を辞めた理由はそこじゃなくて、それを変えられなかった自分の実力不足に気づいた。もしくは会社を変えられなかった自分に嫌気がさした。そんなところじゃないかと思います。
でもまぁ、嫌だと思うことに間違いはなくて、その感覚を信じて会社を辞めて後悔はしていないですし、困っても焦ってもいないので、自分の感覚を信じて良かったとは思っています。
退職を考えている方へ
もしかすると、これを読んでいる方で退職を考えている人がいるかもしれません。会社に対しての退職理由と周りの人に対する退職理由は、なんでもいいような気がします。ですが、自分に対する退職理由だけはしっかり自問自答して考えておかないと、あとで後悔することになるかもしれません。自分の場合はたまたまブログというものに出会い、ブログがあるから大丈夫ですけれど、何もなかったらどうなっているかわかりません。
退職することをオススメする気も止める気もありませんが、自分のことですので自分にだけは嘘をつかないほうがいいと思います。よく考えてみてください。
以上、余計なお世話でした。
でわ、股!!