朝刊で、世界で一番貧しい大統領と呼ばれた、ホセ・ムヒカさんが亡くなられたことを知りました。
いつかこの日が来るとはわかっていましたが、それでも残念です。
まだ若かった頃、仕事をスムーズにこなすことが出来ず、さらに世渡り的なことも上手く出来ず、なんだかモヤモヤしているときに、そこから逃げ出したい気持ちもあって、手にしたのがこの本でした。
この本との出会いを皮切りに、「果たしてバリバリ働いてガンガンお金を使う生き方は、本当に正しいのだろうか?」みたいなことをぼんやりながら考えるようになり、頭に小さいアンテナが建ちました。
それから何年かして、その小さなアンテナに引っかかったのが、ホセ・ムヒカが行ったスピーチでした。
ムヒカ大統領のリオ会議スピーチ全文|我々の前に立つ巨大な危機問題は環境危機ではありません、政治的な危機問題なのです - 骰子の眼 - webDICE
このスピーチの中で、ホセ・ムヒカはこのように語っています。
10万時間持つ電球が作れるのに、1000時間しか持たない電球しか売ってはいけない社会にいるのです。そんなに長く続持つ電球はマーケットによくないので、作ってはいけないのです。
このスピーチを耳にしたことで、なんだか自分の中にあったぼんやりした考えは、ぼんやりから核心に変わりました。
アメリカの一番偉い人が「関税を上げる!」と言い出して、その影響で日本の車メーカーが軒並みマイナス予想を発表して、それに伴うリストラや、関連企業だけでなく他の企業まで影響を受けることが予想されて、なんとなくわかっていたつもりでしたが、それだけ日本がたくさん車を作って売っていることを思い知らされました。
ただ、そんな自分は、そんな日本に住んでおきながら、車を必要としない生活を、もう30年近くしていて、それなりに幸せです。
もちろん、車を必要とする人や国がある事は理解できますし、ちゃんとした数字を調べたわけでもありませんが、「そんなにいる?」とは思います。
前述した電球の話と同じで、日本に限らず優秀な企業が作った車なら、例え量産品であったとしても、20年くらいは乗れるはずです。たぶん。
ちなみに、ホセ・ムヒカの愛車はワーゲンで、30年以上乗っていたはずで、それをどこかの富豪が100万ドルで買いたいと言ったけど、あっさり断ったそうです。
そして、こうも語っています。
貧乏なひととは、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ
自分はまだその境地には至っておらず、ときたま欲望に負けて、美味しい物が食べたくなったり電動自転車が欲しくなったりしますが、そんなときはこの言葉を思い出し、「本当の貧乏とは?」と自分に問うようにします。
というわけで、ホセ・ムヒカさん、ごゆっくりお休みください。
でわ、また。